昨年から社会全体のライフスタイルが大きく変わりましたね。変化にはストレスがかかります。
今回から何回かに分けて「ストレス」についてご紹介したいと思います。といっても、昨今は情報がたくさんあふれているので聞き覚えのあることが多々お有りかもしれませんので、そこらへんは肩ひじ張らずにお付き合いください。
①ストレスとは?
ストレスという言葉が国内に広まってきておそらく30年くらいかと思います。もちろん言葉やストレス学説というものはもっと以前からあり、1936年カナダの生理学者ハンス・セリエ博士が論文として発表したことが医学用語としては最初のようです。(言葉は物理学用語でそれ以前から。)
意味としては「外力による物質のゆがみ」というところがそもそもで、セリエ博士はこれを「外部環境からの刺激によって引き起こされる生体内の変化した状態」と定義しました。
ストレスは原因ではなく、状態を指します。
原因とは「ストレス状態を引き起こす外部からの刺激(情報)」となり、これをストレッサーと呼びます。
②ストレッサーに対し、体はどのように反応しているのか?
体に対してかかる負荷が長期に恒常的にかかっていくと、負荷そのものは軽いものであっても体の抵抗力が負けてしまい、痛みや違和感などそれまで感じることもなかった不快な感じを覚えることがあります。
心理的、精神的にも同様のことが起こります。
ストレッサーに対し体内の二つのメカニズムが反応します。
Ⅰ,内分泌系
ストレッサーによって脳の中の「視床下部」というところから「CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)」というホルモンが放出され、刺激された脳内の「脳下垂体」というところから「ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)」が産生、放出。ACTHは血液の流れに乗って、副腎(腎臓の上に乗っている三角形の小さな臓器。外側の部分を副腎皮質、内側の部分を副腎髄質と呼び、それぞれ違うホルモンを分泌します)の「副腎皮質」に到達。すると「副腎皮質」から「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。
「コルチゾール」は代謝活動や免疫機能を活性化させ体をストレス状態に適応させるように働きます。ただし慢性的、長期的なストレス状態におかれると過剰に分泌され、体に害をもたらすものとなります。
Ⅱ,自律神経系
ストレッサーによって脳の中の「視床下部」というところから「CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)」というホルモンが放出され、「交感神経」が活動。「交感神経」から「ノルアドレナリン」というホルモンが分泌され、刺激を受けた「副腎髄質」から「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」が分泌されます。
「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」の働きによって諸器官の血管が収縮し、瞳孔が開いたり、血圧や心拍数、汗腺活動が上がり、ストレスから体を守る体制が整います。ただしこの状態も恒常的に続いていくと体にとっては負担となります。
内分泌系のストレス反応メカニズム「視床下部」⇒「脳下垂体」⇒「副腎皮質」を「HPA系」と呼びます。
自律神経系のストレス反応メカニズム「視床下部」⇒「交感神経」⇒「副腎髄質」を「SAM系」と呼びます。
今回は、ストレスの定義とストレッサーに対する体の反応について見てみました。
体の中では体を良好な状態に保とうというメカニズムが一生懸命働いてくれいます。
それも長期慢性化してくるとメカニズム(当院ではよくシステムと呼びます)が疲弊して調子が悪くなってきます。
これを踏まえて考えると調子が悪くなってきたと自覚できる頃には体内ではそこそこの疲れがあるということもあり得ますね。
疲れや不調を自覚していないにもかかわらず発病することもあり、ストレスをコントロールすることも大切です。
次回は具体的なストレス反応、対処法についてご紹介したいと思います。
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*病気療養中であったり、基礎疾患をお持ちである人は無理をしないようにしてください。